COP26を前に、ガス価格高騰で苦境の英国

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欧州の電力市場、電気料金の高騰

第26回気候変動枠組条約締約国会議、所謂COP26が、10 月31 日(日)~11 月12 日(金)に英国・グラスゴーで開催される。そういう時期にあって、現在、欧州と英国の電力市場では、電気料金が記録的な水準に急騰しており、英国ばかりかヨーロッパのグリッドに深刻な不安定さを与えている。

ここ数週間、ヨーロッパの大部分で風が十分に吹いておらず、風力発電による出力が減少しており、グリッドに載せる電力不足につながっている。その結果、電気料金の急騰につながっている。

再エネの弱点

この現象は、需要が高い冬に起こる傾向がある。風力発電の出力は風速の3乗で規定されるが、冬場は夏場と比べて気温もかなり下がるため、実風速は(273/(273+20))の3乗、即ち約80%の出力になってしまう。太陽光の場合も、夏に比べて冬場は太陽光そのものが弱くなるため、同様に出力減となる。

つなり、再生可能エネルギー(再エネ)による発電には、非連続性や低効率、エネルギー密度などの他に、基本的な弱点があると考えられる。英国や欧州では、大分前から積み重ねてきた課題である。英国では、卸売電力価格は昨年の今頃から倍増していると言われている。

ガス価格の急騰

また、アジア諸国では経済成長によって天然ガス需要の高まりなど、多くの要因がある。通常、これらは、天然ガスの生産を推進することに繋がるが、現在、ヨーロッパや米国でも、脱炭素化の動きがあり、そういう方向には向かっていない。

つまり、電力市場の問題のほとんどは、自分で自分を傷つけているとも言えるのである。現在、再エネを支持して、エネルギー・ミックスから化石燃料を追い出そうと、EUが、EU炭素価格の倍増を意図しているからである。

石炭は最もCO2を排出するため、発電方式を石炭からガス発電に切り替えることを進めているが、これによって、すでに不足している天然ガスの需要が増加している。石炭とガスの発電事業者は、この炭素価格を支払わねばならず、これがコストを押し上げ、その結果、電気価格はさらに上昇している。

その上、再生可能な補助金の年間120億ポンドが上乗せされ、現在、英国の電気料金は1世帯あたり£440にも高騰している。

英国・欧州、石炭への復帰

さて、COP26を開催する英国で、この危機にどのように対処するつもりなのか?

冬場の低風速は大陸のエネルギー危機を悪化させ、公益事業者は不足分を埋めるために、石炭に目を向けている。エネルギー危機の深刻さは、西側政府が、COP26でネットゼロ目標に合意するよう新興国や発展途上国に押し進めようとする時に起きている事である。

ヨーロッパが石炭に復活せざるを得ないという現実は、英国や欧州の政治家が、他国にネットゼロを押し付けようとする試みを不可能にする可能性がある。なぜなら、彼らは、ネットゼロ実現のコストや電気料金の増加を発端とした有権者の反発に、先ずは対処しなければならなからである。

果たして、ボリス・ジョンソンは、どう切り抜けていくのだろうか?

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